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ジョン・ウィック

 今年に入ってアトピーがずいぶん改善して、春からは皮膚科通いもしなくて済み、例年症状が悪化する夏も乗り切れたんですが、暑さが去ったと思ったら数年ぶりに蕁麻疹が出ました。
 発疹が出ないタイプだったので蕁麻疹だと気づくのが遅れ、ようやく気づいて医者に行き、痒み止め(飲み薬と塗り薬)を処方してもらったのが先月末。どちらもアトピー用と同じですが、飲み薬のほうは半年ぶりで身体が合わなくなってたのか、意識が朦朧となって寝込みました。飲み薬が原因だと確認したわけではないのですが、2日飲んで2日寝込んだので、たぶんそうでしょう。
 ともあれ症状のほうはその2日でだいぶ改善したので、後は塗り薬だけでほぼ完治、というところまで漕ぎ着けたら、今度はノートパソコンが壊れました。1ヵ月半前に買ったばかりのくせに、CD、DVDの類の読み取りを断乎拒否しやがるようになりました。オーディオの再生ができないだけならまだしも、ファイルの保存もできないのでは仕事ができん。
 部品交換だけで済んだので4日で復旧しましたが、個々の災難としては小さくても、続けざまだとダメージ溜まるなあ。  

 そういうわけでその4日間は、PCなしでできる下調べのほか、カオス状態になっていたクローゼットの大整理を敢行したり、『ジョン・ウィック』を観に行ったりしていたのでした。いや、近場でやってる中で、観たいのがこれしかなかったんで。

「キアヌ完全復活!」の煽りに思わず納得してしまうのだが、あれ、でも『47 RONIN』はわりと最近だよね? 未見なんだが、やっぱ「なかったこと」にされてんの?
 まあとにかく、キアヌ・リーヴスという役者は「特徴がないのが特徴」で、しかも同じく特徴のない役者でもクリスチャン・ベールが「演技派」と呼ばれるのに対し、キアヌがそう呼ばれることはまずない。下手と言うんではないが、別にほかの役者でもいいじゃん、というレベル。
『スキャナー・ダークリー』はその「特徴のなさ」が役に嵌まっていた稀有な例だが、今回は車と犬だけが生き甲斐の孤独な男という、キアヌの私生活を彷彿とさせる、また別の意味での嵌まり役であった。
 以下、あるかなきかの如きのプロットについては『映画秘宝』で何か月も前から散々述べられているから、ネタバレ注意は要らんよな。  

 低迷しているかつてのスター俳優が、自らを髣髴とさせる役を演じて称賛される例は少なくないが、本作はそれらとは一線を画する。孤独で侘しく暮らすキアヌ(が演じるジョン・ウィック)は、実は引退した凄腕の殺し屋だった。そして「生き甲斐」の車と犬を奪われた時、復讐に燃えて「完全復活」するのである。
『スピード』と『マトリックス』を忘れられないファンにとっては、もちろんこちらの展開のほうが嬉しいに決まっている(私はファンでこそないが、『スピード』と『マトリックス』はもちろん忘れていない)。
 ちなみに脚本は当て書きでこそないが、キアヌが自分で見つけて気に入って監督のとこに持ち込んだものだそうである。

 この極めてシンプルかつ強力なプロットに乗って、後はどう殺していくか、である。一言で言うと格闘技+拳銃で、なんかガン・カタっぽいが、格闘技はカンフーや空手じゃなくて柔道やシステマのような関節技系。で、抑え込んでおいて至近距離から拳銃でとどめ。
 いや、確かに拳銃は中距離武器としても抑止力低いよな(にもかかわらず、それなりに抑止できているのは、撃たれた側が映画等の影響で「撃たれた! もう駄目だ!」と思い込んでしまうからだそうである)。御丁寧に急所に2発以上ぶち込んでるのもあって、なんかすごく「説得力」があるのであった。離れた場所(せいぜい数メートルだが)の敵を撃っても、後でわざわざとどめを加えに行くし。  

 つまり、敵を一人ひとり、関節技で抑え込んでは至近距離で銃弾をぶち込む、ということを延々繰り返し、その間にキアヌも殴られたり撃たれたりしてどんどんボロボロになって行く、という極めて泥臭いアクションなのだが、それにもかかわらずスタイリッシュに観せている。
 説得力があるが泥臭く、しかしスピーディーでスタイリッシュ、というとジェイソン・ボーンっぽいが、それとはまた違ったタイプである。とにかく楽しい1時間50分であった。

 そう言えば、ガン・カタはクリスチャン・ベールなんだよな。あの時は、決して「巧いんだけど、なぜか埋没している」なんてことはなく、ちゃんとキャラが立ってたのにな。「演技派」なんてやめて、こっちに戻ってきたほうがよくないか?   

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