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アフリカン・カンフー・ナチス

 金と労力を注ぎ込んだB級再現映画を続けて観た(『シン・ウルトラマン』と『シン・仮面ライダー』のこと。感想を上げる予定は無し)後に、本物のB級映画を観る。タイトルどおり、アフリカをカンフーで支配しようと目論むナチスの話。監督・脚本・主演のセバスチャン・スタインは、カンフー映画マニアで日本在住のドイツ人映像作家。なんというカオス。

 現地俳優(太ってない人たち)のアクションだけはS級だし、カメラワークもそれを殺さない程度のレベルではあるため見応えは充分にある。太った人たちもその体格の割にはすごく動いてるし。ヒトラーももちろんカンフー使いで、演じるスタイン監督は中国武術の経験者なので、まあまあ様になっている。東條役の人は……。あ、テーマソングもよかったです。
 人間を洗脳する魔力を持つとかいう旭日旗+鉤十字(?)の旗が壁にガムテで貼られているのがひどすぎて笑った。洗脳されて「ガーナアーリア人」になったガーナ人たちは、「白く」なるので判別は容易である。でもヒトラーは人種混淆こそ忌み嫌ってたものの、「純血」の黒人は高く評価してたんだよな。もちろん評価といっても、「黒人だから身体能力が高い」「黒人だからリズム感がある」と同じ種類の偏見でしかないんだが。
 ヘルマン・ゲーリングも黒人が演じるという無茶ぶりで、「でたらめドイツ語」(チャップリンの『独裁者』みたいな)を喋る。YouTubeで公開されてるドキュメンタリーを見たら、撮影直前にスタイン監督が「ドイツ語っぽい喋り方」を指導していて、これが「強い巻き舌」と「喉が詰まりかけているような声」(Nachtのch)との2点だけで、時間にしてわずか1分。後はすべてアドリブに任せて、そのままぶっつけ本番へ。それでちゃんと感情を乗せて演技してるんだから、実はすごい名優なのかもしれない(自身も同じ場面に登場するので、必死で笑いをこらえる監督)。
 https://www.youtube.com/watch?v=pJCgXe1Segs(3分55秒から)

 スポンサーになってくれたのが現地の蒸留酒「アドンコ」の製造会社だったため、画面には隙あらばアドンコの瓶やポスターが映り込んでいる。それだけでなくこの会社はたいそう気前がよくて商品を山ほど提供してくれたので、監督をはじめスタッフもキャストも、カメラが回っている間も回っていない間も飲み続け、四六時中泥酔していたようだ。その有様もドキュメンタリーで確認できる。
 そもそも監督がこの企画を思い付いたのは、泥酔の翌日の二日酔いの最中だったそうで、つまり文字どおり泥酔から生まれた「ピンクの象」が『アフリカン・カンフー・ナチス』だったわけである。

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