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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 2019年公開。ネタバレはないかな。
 タランティーノ作品では、一番バランスがいい。クライマックスのブラピ大暴れも、LSDでラリってるからで説明がつく範囲だ。タランティーノ作品の多くにある暴力シーンの多くは、長すぎて飽きるか(『キル・ビル』vol.1が顕著)、やり過ぎでドン引きさせられるかだったからな(『ヘイトフルエイト』はこれのせいで感想を書く気をなくした)。タランティーノのサントラは、印象的だけど舞台や時代に合ってなくて浮いてるのが多かったが、本作はそれもなかったし。

『イングロリアス・バスターズ』および『ジャンゴ』と同じ、敗者救済ifもの。ホロコーストもアメリカ奴隷制も、それらを題材にしたフィクション(「事実に基づいた物語」)は無数に創られ続けられている。その行為はもちろん、「過去の過ちを忘れない」という立派な使命に即してはいるけれど、犠牲者たちをネタに感動ポルノを量産し続けていることでもある。
 また一つ感動ポルノを生み出すよりも、犠牲者が反撃する痛快な歴史改変ものをでっち上げたほうが、むしろ誠実である。まあ何作も創るもんじゃないけど(よほど独創的なネタだったら、もう1、2作はあってもいいだろう。3作はいらない)。
 それでもホロコーストとアメリカ奴隷制は散々擦られ続けた題材であるだけに、逆張り感も否めない。一方、シャロン・テート殺害事件は知名度はかなり高いにもかかわらず、題材としたフィクションは、連続ドラマやチャールズ・マンソンの伝記作品の中の一エピソードとして扱われるのを除けば、そんなに多くないようだ(英語Wiki参照)。
 だから本作におけるシャロン・テート「救済」に逆張り感はまったくなく、ただただ彼女の死を未だに悼んでいるのだ、と思わせる。

 マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートは徹底して象徴として描かれていて、演じるのは難しかったろうな。レオナルド・ディカプリオは今回もセルフ・パロディみたいな役だが、演技力はさらに上がっている。一方のブラッド・ピットは、同じくキャリアに行き詰っているというか先が見えなくなりつつも、焦るでもなく飄々としているという対照的なキャラクターで、さらに素晴らしい。
 チャールズ・マンソンのコミュニティの演出が完全にホラー映画のそれだった。まあホラーに登場する怪奇が「わけのわからん若者文化(当時)」のメタファーってのは定番。彼らに利用されているブルース・ダーンの、耄碌した惨めさが鬼気迫る。

『ジャンゴ 繋がれざる者』感想
『イングロリアス・バスターズ』感想
『キル・ビル』感想
『デス・プルーフinグラインドハウス』感想

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