落下の解剖学
2023年公開。ヴェネツィア国際映画祭パルムドール受賞。ネタバレ注意。
ミステリに分類はできるが、「謎解き」はない。まあ全編ほぼ屋内だけの心理劇で、残り15分(エンドクレジットを除いたら10分弱)でヒロインのサンドラが無罪となり、ここまで引っ張って来て「実は……」なんて「真相」を明かされたら興ざめだと思いながら観ていたので、しょうもない「どんでん返し」がなくてよかった。普通に2時間前後だったら「真相」も明かされてすっきり、でいいんだけど、2時間半も付き合わされて、そんな陳腐な結末だったらがっかりだからな。
結局、息子の両親の口論を聞いたのが屋外だったのか屋内だったのか、後者ならなぜ屋外だったと勘違いしたのかとかが明かされず、サンドラが殺した可能性も意図的に残されている。まあ私は、夫が自殺のついでに彼女を陥れようとして喧嘩を吹っ掛け、録音を残したんだと思うけど。息子の事故にめっちゃ責任を感じているという割には、聴覚に頼らざるを得ない彼が在宅中に大音響で音楽かけるのは普通に自己中。
脚本は監督とそのパートナーであるアルチュール・アラリとの共同。劇中、サンドラと息子が別々の場所で観ているTV番組のコメンテーターが「みんな何が事実かはどうでもよくて、彼女が夫を殺したということにしたほうがおもしろいと思っている」と発言するが、演じるのはアラリ。
部屋に飾られている少女時代のサンドラの写真は、演じたザンドラ・ヒュラー本人のもので間違いないと思われるが、少年ぽくてめっちゃ可愛い。でもあんまり美人にならなかったんだな……
なお、芸達者なわんこはザンドラ本人のペットで、「パルムドッグ賞」を受賞している。これ、アニメの犬キャラもノミネート対象だから、ジョーク賞だよな。
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