オン・ザ・ミルキー・ロード
2016年公開。クストリッツァだから観たんだが、うーん……クストリッツァ作品はだいたい観てるが、『アンダーグラウンド』(1995)を超える作品は撮れてないんじゃないか? 未見なので有望そうなのは『ジプシーのとき』くらいか?
映像と音楽は、いつもに増して素晴らしいんだけどね(音楽担当は息子のストリボール・クストリッツァ)。あと、クストリッツァ作品は動物が画面をうろうろしていることが多いが、今回はいつもに増して動物の種類も数も出番も多く、しかも芸達者な個体ばかりであった。そして容赦なく殺される。
内戦中のある国(と公式サイト等では紹介されているが、みんながセルビア語を話す国だ。それも「設定上は別の言語」ではなく、作中で「セルビア語」と明言してる)。主人公は毎日、砲弾を搔い潜って前線に牛乳を届けている。牛乳の買い付け先である農家の娘ミレナは彼にぞっこんだが、本人はいまいち乗り気ではない。
ミレナの兄は戦争の英雄で、戦火に巻き込まれて難民キャンプにいたイタリア人女性を花嫁として村に連れてくる。主人公と花嫁の間に愛が芽生え……
プロットがシンプルすぎて、『アンダーグラウンド』に比べて見応えがない、というのもあるんだが、やはり終始気になったのはメインキャラたちの年齢設定。主人公はクストリッツァ自身が務めるが、2016年当時、すでに62歳。ヒロインのモニカ・ベルッチは52歳。彼女の結婚相手はクストリッツァ作品の常連、ミキ・マノイロヴィッチで、66歳。しかしその妹、ミレナ役のスロボダ・ミチャロヴィッチは35歳なんだよな。
ミレナは「若い娘」設定なのはいいとして(元体操選手という設定で、戦争のせいで選手としての最盛期だけでなく婚期も逃してるっぽい感じなので、「やや薹が立っている」ということなんだろうけど)、実年齢では彼女の親のような3人が、それほど齢が行っていない扱いなのは無理がありすぎる。
実年齢より10歳くらい若い設定というなら問題なかったろうに。過去にいろいろあった中年の男女の恋愛や、ずっと戦場を渡り歩いてきて、そろそろ身を固めようという男がはしゃいでる、とかなら全然いいんだが、ベルッチが「新品同然」とか言われてると、さすがに「ええ……」となる。いや、もちろんベルッチ様は本作でも美しい。しかしそれは若い頃とはまた違う、「年齢を重ねたこその美しさ」である。「齢の割には美しい」じゃないんだから、「そこそこ若い」扱いするのは違うだろ。
あと、ミレナの母親、えらく味のあるおばあさんだったのに、途中からなんの説明もなく一切出番がなくなるのは、なんかトラブルでもあったん?
タイトルも(英題on the milky road クロアチア語原題も同じ意味っぽい)、ちょっとな。主人公が牛乳を運んでるから「ミルキーロード」なのはいいが、後半関係ないじゃん。結末もよくわからん。あの行為になんの意味が? いや、追悼だったのは解るが、なぜああすることが追悼になるのか、何かのメタファーなのか。解らんのは、まあ私の頭が悪いからなんだろうな。
『マレーナ』感想 ベルッチ様の最高峰
『ミッション・クレオパトラ』 でもやっぱりモニカはフランス語喋ってるのが一番可愛いと思う
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