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パラサイト 半地下の家族

 2019年公開。生き馬の目を抜く如き悪意に満ちた話なんじゃないかと腰が引けていたが、実際観てみたところ、笑いっ放しのブラックコメディかつ後味は悲哀に満ちていた。ネタバレ注意。

 主人公一家は、不合格とはいえ息子が難関大学、娘が美大を受験、父親が高級車の運転手、母親が家政婦をそつなくこなせ、息子はカブスカウトに入っていたり富裕層の友人がいたりと、台湾カステラ屋で失敗するまでは中流層だったっぽい。
 そもそもカステラに出資する元手はあったし、地下のおっさんと違って借金取りに追われてもいないし。父親がカブスカウトの話をした時は、口から出まかせを言ったわけじゃなくて、息子がやってたから多少は知ってたわけだ。兵役は2年余りだから、事業失敗は息子の兵役中かな。その後も2度受験できてるから、カステラからすぐに半地下まで落ちたわけじゃなさそう。会話の端々からも、半地下暮らしもそれほど前からじゃなかったらしいことが窺われるし。

 まあとにかく、それほど能力が高くても一度落ちると這い上がれない、ということなんだろう。両親はともかく、子供たちが詐称する経歴と服や持ち物の不釣り合いに金持ち一家が気が付かないことだけが、唯一の粗か。体臭だけじゃなく、肌や髪、爪、歯なんかの状態も気づく人は気づきそうだしなあ。
 ただ、金持ち一家のほうも成り上がりらしいので、そういう細かいところに気づく素養はないのかも。一方で成り上がりだからこそ、半地下家族の父親に(元家政婦の夫にも)リスペクトされてたのがいい。リスペクトしていたからこそ、体臭という「しみついたもの」を生理的に拒絶されて、衝動的に刺してしまう。そして泣いて謝る。自分たちで陥れたくせに、クビになった運転手を気にしてたし、元家政婦の死にもそれなりに敬意は払ってたし、自分と家族のことでいっぱいいっぱいだっただけで、この父親は根っからの悪人ではない。水没する家から、妻のハンマー投げのメダルを大事そうに持ち出してるんだよね。

 そこかしこに、入れ子構造の無意識の差別が垣間見える。息子は父親に敬語を使うが、母親は夫を蔑ろにしているし、娘も普通に好いてはいるがタメ口。息子一人が、父親は敬語を使われるべきと思っていて、それは自分も将来そうされたいと思ってるってことなんだよな。
 で、金持ち一家のほうは娘がナチュラルに蔑ろにされていて、だから偽家庭教師に惹かれたんだろうけど、息子のほうは娘との結婚を夢見るくらいならまだしも、酔っ払って気が大きくなってたのもあるんだろうけど、そうなれば豪邸は自分のもの、結婚式さえ切り抜けられれば、後は娘が真実を知っても従わせてしまえると、家族ともども当たり前に考えてるのが怖い。特に母親、自分は夫を尻に敷いているのにな。逃げることも実家に真相を告げることも不可能にして、自分たちに仕えさせる気でいる。奴隷?

 ところで北朝鮮アナウンサーの物真似は、やっぱりあれ、韓国人から見ても変だったんか。

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