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わたしは最悪。

 2021年公開。ヨアキム・トリアー監督はデンマーク出身で、デビュー以来ノルウェーで活動する。ラース・フォン・トリアーの遠縁。
 デンマーク語とノルウェー語はかなり近いそうだ。ノルウェー映画を観るのはたぶん初めでだし、ノルウェー語をしっかり聞くのも初めて。ゲルマン語系の単語は「キュンスト(芸術)」くらいしか聞き取れんかった。以下、ネタバレ注意。

 要は『ブリジット・ジョーンズの日記』系統だな。ダメ女映画。ダメと言っても、本作のヒロイン、ユリア(レナーテ・レインスヴェ)の場合は、大概のことは小器用にできるので、「本当にやりたいこと」が見つからないタイプ。「これだ!」と飛びついて、ある程度こなせるようになると「やっぱり違う」となるのを繰り返す。なまじ小器用なせいで努力しないんだもん、このヒロイン。ただし「勉強が出来るというだけで医大に入れる」ほど頭がいいようには見えないんだけどな。インテリだってのには納得できる程度ではあるが。
「この先の人生に何かキラキラした素晴らしいことが待ち受けているはず」「いつか、私が主人公の〝私の物語〟が始まるはず」という期待、それも「受け身」な期待はなあ……年齢を重ねるにつれて、呪いと化していくよなあ……

 そんな彼女にとって、恋愛とはもちろん「私にキラキラした素晴らしい〝私の物語〟をもたらしてくれるもの」で、しかもその先に「家庭」や「子供」は望まないので、破綻しないほうがおかしい。というか、むしろよく約10年ももったものだ。そして30近くにもなって、性懲りもなく同じことを新し恋愛に求める。マジック・マッシュルームでラリって醜態を晒すのも、30にもなってやることじゃない。まあ、30にもなってるからこその迷走だとも言えるかもしれない。クスリで「何か素晴らしい体験ができるかもしれない」ってのも、受け身の発想だわな。
 コミック作家のアクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)は、ユリアと齢が離れすぎているがゆえの齟齬を除けば出来た彼氏すぎる一方、なぜあそこまでユリアに執着するかが理解できん。彼女の衝動性に「惹かれる」までなら解るが。
 そして、そういう彼にコンプレックスを抱いていたユリアが、「コンプレックスを抱かせない相手」に靡く、というのも解るが、その相手であるアイヴァン(ヘルベルト・ノルドルム)のどこに、「コンプレックスを抱かせない」以外の惹かれる要素があったのかも、さっぱり解らん。……いや、変な顔じゃん。「若い」というけど、老け顔だし。来日した外国人男性が、本国ではイケメン扱いされてたのに日本ではそうでなくてショックを受けたり、その逆だったり、という事例は多いらしい。私も英会話教室で両方の例を実見したことがある。これもそういう美的感覚の違いなんだろう。

 スピリチュアルと環境保護に目覚めてしまった恋人に息苦しい思いをしていたアイヴァンが、ユリアに惹かれたのは解る。マジック・マッシュルーム事件でも愛想を尽かさなかったのは立派だ。しかしユリアの妊娠への対応はクズだし、そんな過去などなかったかのように女優に子供産ませて幸せ家族をやってるのは面の皮が厚すぎる。
 アイヴァンの現在を知っても淡々と仕事をこなすユリアは、成長したと言っていいんだろうか。いろいろ諦めただけなんだろうか。もちろん以前の彼女なら、仕事を放って果てしなく嘆き悲しんだに違いないから、その点だけでも大いに成長したのは間違いないが。

 本場だけあって、おしゃれな北欧家具がいっぱい見られます。全体のインテリアもおしゃれで見応えがある。一人暮らしをしていた90年代に購読していたインテリア雑誌で、偶に「おしゃれなインテリアのお手本になる映画」を特集していて、ウッディ・アレン映画とか『アメリ』とか取り上げていたが、今同じ企画があったら選ばれてそう。
 アイヴァンの元カノのインスタが、「そういう需要」を見込んだヨガ・アカウントと化していたのには、あるある過ぎて笑った。ヨガの参考にしようとポーズを画像検索すると、水着や下着姿で尻や股間を強調した角度ばかりで写ってる女の人のインスタ・アカウントがいっぱい出てくるんだよね。

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