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アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方

 2024年公開。監督のアリ・アッバシはイラン出身で、デンマークで映画制作を学んだ人。
 Apprenticeは「見習い」の意だそうで、トランプ大統領自身が出演していたTV番組と同じタイトルだが、悪徳弁護士ロイ・コーンとの「師弟関係」という本作の主軸そのものを表してもいる。以下、一応ネタバレ注意。

 物語は1973年、父親の会社が敗訴寸前という窮地に陥った若きドナルド・トランプが、偶々出会ったロイ・コーンに助けを求めるところから始まり、1987年に出版することになる自伝の準備を始めるところで終わる。作中で年代が提示されることはなく、会話の端々や差し込まれるニュース映像等から察するしかない。トランプの個人史はもちろんアメリカ現代史に疎いと察しようがないが、まあ物語自体は時系列どおりに進むので、それほど問題ない。
 上記のとおり、当時のTV映像が何度か差し込まれるのだが、本編(現代の俳優の演技)の映像も全編にわたってそれらに画質を合わせており、本物の当時の映像を観ているような錯覚に時折陥る。ドキュメンタリーか生放送番組のようなカメラワークも多用されてるし。なお、時代が進むにつれて映像技術が進歩するので、本編の画質も徐々に向上する。

 ドナルド・トランプの容姿は前回の大統領選以降しか知らず、若きトランプを演じるセバスチャン・スタンは(現在のトランプに)表情とかよく寄せてるな、と感心しながら観ていたが、後で当時の写真をチェックしたら、本当にだいぶ似てるな。作中で言われてるとおり、若い頃のロバート・レッドフォードにも似ている。スタンの素顔はそんなに似てるわけでもないから、演技とメイクの力すげえ。イヴァナは本人のほうが美人だったな。
 伝記映画であっても、あくまで「事実に基づいたフィクション」でしかないが、本作のトランプはだいぶ中立的な描き方だと思う。その上で、どんどん力を増していくトランプに対し、力を吸い取られているかのように弱々しくなっていくロイ・コーンとの対照が素晴らしかった。演じるジェレミー・ストロングは『リンカーン』に出てたけど、憶えてないや。

 終盤、トランプが開いてくれた誕生会の席上、コーンはプレゼントされた「ダイヤのカフス」をイヴァナに自慢するが、「本物のダイヤじゃない、ジルコニアだ」と一蹴される。ダイヤとジルコニアは薄暗い場所のほうが見分けやすいそうなので、本当にジルコニアだったんだろう。
 誰がどう見たって死期が迫っているコーンにわざわざそんなことを言うのは、この期に及んでもイヴァナが彼を嫌っているからだろうが、同時に、「恥知らずなのよ」とトランプを指して言う彼女の表情は明らかに痛みを抱えており、トランプの「被害者」同士として、その痛みを分かち合いたかったかもしれない。

 ところで、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』2のビフのモデルがトランプ、というのは有名な話だが、マーティのママが豊胸手術を受けさせられるところまで元ネタどおりなんだな。

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