« ハート・ロッカー | トップページ | ランガスタラム »

教皇選挙

 2024年公開。
 自宅PCで鑑賞。前半は何度も中断してWikiを参照しながら、各キャラの顔と名前、地位や立場、およびキャスト等を一致させる。異人種の顔を見分けるのも名前を憶えるのも苦手ではないが(むしろ東アジア系のほうが苦手)、さすがに大勢いるキャストの9割が初老の白人男性で同じ服、というのは、映画館で観たらしんどかったと思う。

 構図やカメラワークがとにかく素晴らしく、その点に関しては、映画館で観るべきであった。
 人によってはネタバレになるので、一応御注意。

 日本語Wikiではミステリ、英語Wikiではpolitical thrillerに分類されている。ミステリ、スリラー……まあ、そうかな。教皇選挙を巡る陰謀はある。ただまあ、教皇になりたい個人が巡らす陰謀なので、割とみみっちい。序盤で前教皇の死が急すぎることや、密室の外でテロが起きていることが示されるが、それが「巨大な陰謀」の伏線かもしれないと期待してしまうと、肩透かしを食らうだろう。
 もちろん、みみっちいからこそ人間臭くておもしろいし、急死もテロも、ちゃんとプロットに関わるものではある。

 教会音楽の類は別にして、一度にこんなにたくさんラテン語を聞いたのは初めてだ。教会ラテン語って古典ラテン語と発音がそこそこ違うんだな(文法の違いが判るほどの知識はない)。まあそもそも「コンクラーウェ」じゃなくて「コンクラーヴェ(ベ)」だし。「エウアンゲリウム」じゃなくて「エヴァンジェリウム」、「ユダ」じゃなくて「ジュダ」、「インノケンティウス」じゃなくて「インノチェンティウス」だった。
 各国から集まった人々の共通語は英語(およびラテン語)。字幕は英語以外には括弧<>が付くだけで何語なのかは提示されないんだけど、教皇はイタリア人である自分がなるべきだと思っているテデスコは誰が相手でも、ほぼイタリア語で通し、メキシコ出身のベニテスは英語とスペイン語が半々だ(英語が苦手という設定なのか、込み入った話の時はスペイン語に切り替えるようだ)。それで周囲にはちゃんと通じており、テデスコの敗北とベニテスの勝利を決定づけたのは両者の、それぞれの言語によるスピーチだった。
 いくら皆がある程度ラテン語が解るといっても、イタリア語とスペイン語まで解るとも思えないんだが。確かにこの三言語は、非ロマンス語はもちろん同じロマンス語のフランス語等よりはよほど共通点は多いが、文法はだいぶ違う(ラテン語は屈折語だが伊語も西語も違う)。
 伊語は羅語と共通する語彙は多いが発音はだいぶ変化してるし、西語は発音はかなり近いが、アラブ支配下の時代が長かったためか語彙はだいぶ違う。伊語話者と西語話者は互いの言ってることが「なんとなくは解る」そうだけど、羅語に通じてる人も同様に、伊語と西語は「なんとなくは解る」のがせいぜいなんじゃないかなあ。

 オチは「女教皇ヨハンナ」だよな。ヤン・フス以来、教皇制やカトリックそのものへの攻撃に散々利用されてきたが、元来は教皇批判の意図があったのかも不明な、単なる艶笑譚だったかもしれない伝説だ。それが現代では異なる意味を持ち得る……ってことか?

映画感想INDEX

 

|

« ハート・ロッカー | トップページ | ランガスタラム »

「思い出し鑑賞記」カテゴリの記事